自作PCで4KのUHD BDを再生する方法と必要なパーツや環境まとめ

IntelのCPUとマザーボード 趣味

ゲーミングPCのグラフィックボードが故障した知人から、BDを視聴するための環境が欲しいからPS4を購入しようか悩んでいると相談されまして。

確かにPS4はBDを再生できるので、これ1台でゲームが遊べてBDの視聴も可能になります。グラボ以外のパーツは正常なので、ゲーミングPCは普通のPCとして使えばOKです。

しかし彼は最近、4K対応テレビを購入してるんですよね。せっかく4Kに対応しているテレビを持っているなら、BDも4K解像度で楽しみたいじゃありませんか。

というわけで自作PCにも興味を示している彼のために、4KをサポートしているUHD BDを自作PCで再生するためにはどのようなパーツ、環境が必要なのか、備忘録がてらその方法をまとめておきます。

4KをサポートしたUHD BDとは

BDとはBlu-ray Discの略称ですが、厳密にはBDは4K解像度をサポートしていません。

後継規格であるUltra HD Blu-ray、略してUHD BDが4Kをサポートしています。

主な注意点としては、まずUHD BDはBDとの互換性がないです。また必ずしも4Kで収録されているとは限りません。UHD BDに対応していないBDプレーヤーでは、収録解像度にかかわらず再生することが不可能です。

逆に言えば、UHD BDを再生可能な環境さえ整えれば、4KのUHD BDを再生することができます。

しかし4K解像度で楽しむためには、4K解像度のテレビやディスプレイが必要です。テレビやディスプレイがFHDまでしかサポートしていなければ、UHD BDの再生自体は可能でも解像度はFHDになってしまいます。

またテレビとプレーヤー、もしくはディスプレイとPCを接続する方法も要注意です。4Kをサポートしている規格のケーブルで接続しないと、やはり4Kで楽しむことができません。

HDCP 2.2をサポートした規格のケーブルが必要

そもそも4KのUHD BDを楽しむためには、ディスプレイと再生機器の両方がHDCP 2.2という規格に対応している必要があります。

ディスプレイ側については、最近発売された4K解像度のテレビならまず対応していると考えて問題ないです。そうでないと4K解像度の意味がないですから。

再生機器側も4K出力が可能ならHDCP 2.2をサポートしているでしょう。しかし両者を接続するケーブルがHDCP 2.2をサポートしていなければ意味がありません。

HDCP 2.2をサポートしている接続規格はHDMI 2.0以降、またはDisplayPort 1.3以降です。特にテレビはHDMIのほうが主流なので、下記のようなHDMI 2.0に対応しているケーブルが必要となります。

一方でPCの場合はDisplayPortという選択肢も考えられます。

複数の機器を接続しているとディスプレイのHDMIポートが余っていなくてDisplayPortを使わざるを得ない、なんてケースもあるでしょう。

ただDisplayPortケーブルはDP 1.2までしか対応していない製品が非常に多いので要注意です。下記の製品はDisplayPort 1.4をサポートしています。

ここまでUHD BDを4Kで視聴するための一般的な注意事項をまとめました。

しかし自作PCでUHD BDを再生するなら、上記以外にもパーツ選びに気をつけないといけません。

自作PCでUHD BDを再生するために必要なパーツや環境

UHD BDに対応している光学ドライブや再生ソフトの動作条件を参考に、UHD BDを再生するために必要なパーツなどの環境についてまとめてみました。

OS:Winodws 10

UHD BDを再生するためにはWindows 10を搭載していることが必須条件のようです。どのメーカーの光学ドライブも、Winodws 7や8.1ではUHD BDの再生をサポートしていません。

旧バージョンのWindowsを利用している方はWindows 10にアップグレードしましょう。恐らく今からでも普通に無料でアップグレードすることが可能です。

CPU:Kaby Lake Core i5以上

グラフィックスについては現状、Intel CPUに内蔵されているGPUしか対応していません。

つまりAMDのRyzen CPUやAPUを搭載したPCではUHD BDを再生できませんし、GeForceやRadeonなどのグラフィックボードから出力することも不可能です。

またIntel CPUならどれでも対応しているわけでもなく、CPUとマザーボードの両方がHDCP 2.2とIntel SGX(Software Guad Extention)をサポートしている必要があります。

これに該当するCPUは第7世代Kaby Lake以降、ソケット的にはLGA1151です。Kaby LakeでCore i5以上のCPUが推奨されていますが、第8世代Coffee LakeならCore i3-8100あたりでも良いでしょう。

マザーボード:HDCP 2.2をサポートしたM/B

LGA1151のマザーボードでKaby LakeやCoffee Lakeに対応していても、必ずしもHDCP 2.2をサポートしているとは限りません。

現在ATX規格でHDCP 2.2をサポートしているマザーボードは1種類のみ。その他はすべてMini-ITX規格のため拡張性に乏しいです。

今後サポートする製品が増えるかもしれませんが、現時点では選択肢がかなり限られるので注意してください。

対応している具体的な製品については後述します。

メモリ:6GB以上

メモリは4GBが最低ライン、6GB以上を推奨といった感じです。

ただ6GBは中途半端なので、推奨条件を満たすなら8GBのメモリを載せるか、4GB×2枚のデュアルチャンネルで動かすかですね。

ちなみにあえてデュアルチャンネルにするかどうかはもはや好みの範疇、どちらでも良いと思います。そこまで大した効果があるわけでもないですし、将来さらに拡張するならメモリの空きスロットは残しておいたほうが良いので、これは予算の都合で決めれば良いでしょう。

光学ドライブ:UHD BD規格に対応した製品

もはや書くまでもないと思いますが念のため。光学ドライブはUHD BD規格に対応している製品を選びましょう。

外付けタイプのほうが主流ですが、5インチベイ内蔵式の対応製品もいくつかあります。

ただし記事執筆時点では、スリムタイプでUHD BDに対応している内蔵式光学ドライブは見つけられませんでした。

再生ソフト:PowerDVD 19 Ultraなど

BDやUHD BDを再生するためには対応している再生ソフトも必要です。

再生ソフトがバンドルされているUHD BDドライブを購入するならそれを使えば良いですが、バンドルされていなければ別途購入する必要があります。

最新のPowerDVD 19 Ultraは実勢価格が1万円を超えていてややお高め。費用を抑えたいなら旧型のPowerDVD 14あたりがバンドルされているUHD BDドライブを購入するのが良いかもです。

以上の条件を満たしたパーツ、ソフトで組めばUHD BDを再生できるはずです。

HDCP 2.2/HDMI 2.0をサポートしているマザーボード

Kaby LakeやCoffee Lake世代でもHDCP 2.2をサポートしているマザーボードは非常に少ないです。

またHDMI 2.0に対応しているマザーボードはいくつか存在しますが、記事執筆時点ではDisplayPort 1.3以降をサポートしている製品は見つかりませんでした。

そこでHDCP 2.0/HDMI 2.0をサポートしている製品についてもまとめておきます。

SuperO C9Z390-PGW

記事公開時点ではHDCP 2.0/HDMI 2.0をサポートしている唯一のATXマザーボードです。

SuperOとは聞きなれない名前ですが、アメリカの会社Supermicroが主に法人向けのサーバー・ワークステーションを展開しているブランドとのこと。怪しい中華メーカーではないようです。

肝心のC9Z390-PGWですが、UHD BDの映像出力が可能なHDMI 2.0を1基搭載しています。DisplayPortは2基搭載していますが、こちらはバージョンが1.2なのでUHD BDの再生には使えません。

ATX規格なのにPCI Express 3.0 x16スロットを4基搭載していて変態チック拡張性は申し分ないですね。

ネックなのは実勢3万円を超える価格でしょうか。拡張性を捨てればMini-ITXの対応製品が2万円台で手に入るので、コスト重視なら他のマザーボードから選びましょう。

ASRock Fatal1ty Z370 Gaming-ITX/ac

Mini-ITXかつZ370シリーズでHDMI 2.0を搭載しているのは2種類のみ。その1つはASRockのFatal1ty Z370 Gaming-ITX/acです。

Z370同士の比較ではSATAポートを6基搭載していたり、Thunderbolt 3に対応しているUSB Type-Cを1基搭載しているという点で優れています。

GIGABYTE Z370N WIFI [Rev.1.0]

Z370シリーズでHDMI 2.0をサポートしているもう1つの製品はGIGABYTEのZ370N WIFIです。

こちらはM.2ソケットが2基搭載されています。またHDMI×2基とDisplayPortを使って3画面同時出力、トリプルモニターが可能です。

特にこだわりがないならASRockとGIGABYTEのZ370で安いほうを買っておけば良いと思います。

GIGABYTE Z390 I AORUS PRO WIFI [Rev.1.0]

記事執筆時点では、このマザーボードがZ390シリーズで最安です。

Z390シリーズになると第9世代Coffee Lake Refresh-SのCPUに対応します。

Z370N WIFIと同様にM.2ソケットを2基搭載していますが、HDMIのポート数は減っているので3画面同時出力は不可能です。

ASRock Z390 Phantom Gaming-ITX/ac

こちらはSATAポートが4基に減っているので注意してください。

HDMIポートは2基に増えて3画面同時出力が可能になりました。またThunderbolt 3はサポートしたまま、M.2ソケットは2基に増えています。

ASUS ROG STRIX Z390-I GAMING

メーカーもブランドも読み方がよく分からないことで有名なASUSのROG STRIX Z390-I GAMINGもHDMI 2.0をサポートしています。ちなみに読み方はエイスースでアールオージーです。

M.2ソケットを2基搭載しているほか、メモリソケットが2基しかないのにちゃっかり最大64GBまで対応しています。

ただ実勢価格が3万円近いですし、この記事を読んでいるような方には向いていないかもしれません。

SuperO C9Z390-CG-IW

こちらもUHD BDが目的なら不適当かなと思いつつ一応紹介。

これといった分かりやすい特徴はないので、特に理由がなければやはりASRockかGIGABYTEから選べば良いと思います。

格安でUHD BDが再生可能な環境を整えたいなら

ここまで読んでいただければ分かるように、ぶっちゃけ自作PCでUHD BDを再生する環境を作るのはかなり大変です。パーツの選定はまあこの記事を参考にしていただくとしても、CPUとマザーボードの制約が厳し過ぎます。

最近はIntelよりもAMDのCPUのほうがコストパフォーマンスが優れていて流行っていますが、UHD BDを再生したいならCPUはiGPUを内蔵しているIntel一択です。AMDを選択した時点でUHD BDの再生は不可能になります。

またマザーボードはほぼMini-ITXしか選択肢がなく、拡張性が非常に乏しいです。Mini-ITXだとゲームをするならグラフィックボードを挿したらそれで終わりですし、テレビチューナーやサウンドカードなどの拡張カードを挿す余裕はありません。

しかもグラフィックボードからの映像出力ではUHD BDを再生できないので、別途ゲームのディスプレイを用意するか、その都度出力するケーブルを変更するなどの手間もかかります。

格安でUHD BDが再生可能な環境を整えたいなら、自作PCを組むよりも対応している既製品のプレーヤーを購入したほうが手っ取り早くて確実です。

Ultra HD Blu-rayプレーヤーを購入する

市販のUHD BDプレーヤーは価格がだいぶこなれてきていて、SONYのようなメジャーな国内企業の製品も既に2万円台から購入可能になっています。

格安でUHD BDが再生可能な環境を整えたいなら、大人しく専用のUHD Blu-rayプレーヤーを購入するのが1番良いです。

どうせPCを自作するから…という場合でも、光学ドライブと再生ソフトを削るだけで1万円は浮きます。CPUも同等クラスのAMD Ryzenを採用して、マザーボードを最安クラスの板で組めば3万円くらい安く抑えられるはずです。その浮いたお金でプレーヤーを購入しましょう。

2018年に発売されたSONYのUBP-X700は実勢2.5万円ほど。Dolby Visionや4Kアップコンバートなどの機能も搭載されていますし、ぶっちゃけ自作PCを無理に対応させるよりもよっぽどコストパフォーマンスが良いと思います。この記事を頑張って書いた意味はなんなんだって感じの結論ですが。

メーカー製PCを購入する

あくまでもPCにこだわりたいのであれば、パーツを揃えて自作するよりも既製品、つまりメーカー製PCを購入するほうが安上がりかもしれません。

ASUSが公式オンラインストア限定で販売しているVivoMini VC65-C1 (VC65-C1G3066ZN)
iconはVC65-C1シリーズで唯一UHD BDドライブを搭載しています。

しかも元値は約9万円ですが、現在はセール価格で税込でも7万円を切っていて、最安構成で自作するよりも遥かに安価です。

CPUは省電力志向のCore i3 8100T、メモリは8GB。消費電力の関係からCPUの換装は難しいでしょうけれども、メモリは最大32GBまで増設することが可能です。

ストレージがHDDなのは若干残念ですが、そのSSDもめちゃくちゃ値下がりしてきてますし自力で換装すれば良い話。自作するよりもコスパは圧倒的に良いです。

PCで4KのUHD BDを再生したいなら、ASUS Store限定モデルのVivoMini VC65-C1 (VC65-C1G3066ZN)をおすすめします。

まとめ

自作PCで4KのUHD BDを視聴したいなら、HDCP 2.2をサポートしているパーツで組む必要があります。

また現状はIntel CPUが必須なので、AMDのRyzen CPUやAPUは使えません。GeForceやRadeonといったグラフィックボードを搭載することは可能ですが、UHD HDを出力するポートはオンボードのHDMIを使用します。

マザーボードや光学ドライブは選択肢がかなり限られているので注意してください。

総合的に判断すると、今は自作PCを組むよりも、既製品のUHD BDプレーヤーで対応するほうが良いと個人的には思います。

コメント

  1. 名前 より:

    どうせゲーミングPCを買ったんだからドライブも自分で埋め込みたいな、と思っていた
    私の目を覚まさせてくれたという点でも、大変有意義な記事だったと思います。
    大人しく外付けを買います。

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